岡崎裕子流 陶芸講座 第3回 様々な装飾方法

装飾について

陶芸では、あらゆる工程で装飾を行います。素焼前の装飾は施すタイミングが重要なので、作品の管理に気を配る必要があります。また、作品によっては、装飾を組み合わせる場合もあります。ここでは、大きく「粘土素地の装飾」、「素焼き後の絵付け」、「釉薬(ゆうやく)の装飾」、「焼成の装飾」、大きく4つに分けて装飾方法をご紹介します。

素地の装飾

粉(こ)引き

粉(こ)引き

器全体に白化粧を施す装飾方法です。生素地の表面に、化粧土を釉掛けをするように全体にかけます。表面にかけた白化粧土の肌合いが粉っぽく焼き上がることから付いた名前です。

刷毛目(はけめ)

刷毛目(はけめ)

藁などでつくった粗めの刷毛に化粧土をたっぷりと含ませて描く伝統的な装飾方法です。刷毛塗りのむらを意図的に施します。写真は藁の刷毛で、回しながら施した刷毛目です。

蚊帳(かや)

蚊帳(かや)

麻などでできた蚊帳(かや)の上から化粧土を刷毛塗りして、蚊帳目模様を素地に写す装飾方法です。温かみのある表面を作ることができるため、絵付けの背景などによく用いられます。

引っ掻き

全面や部分的に化粧土を施し、化粧土が乾かないうちにひっ掻いて模様を描く装飾方法です。化粧土の乾き具合や、固めの刷毛や針金、竹串などなど引っかく道具によって様々な模様が現れます。

素焼き後の装飾

鉄絵

鉄絵

伝統的な装飾方法で、鉄を主成分とする「ベンガラ」を絵の具として使うことから鉄絵と呼ばれています。もっとも馴染みのある下絵のひとつです。写真のように筆だけでもいろいろな線が表現できます。

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・ベンガラ(弁柄)

赤色顔料のひとつで酸化鉄を主要発色成分としています。かつてインドのベンガル地方産のものを輸入したために「べんがら」と名づけられました。

染付け

染付け

「呉須(ごす)」と言う絵の具で描く装飾方法です。陶石を原料とした磁器に施されることが多く、青色の濃淡でグラデーションなど様々な表現が可能です。有田焼など、磁器に施した染付けとして有名です。

パステル彩

陶磁器用のパステルは、カオリンや磁器土に顔料を練り込んでつくられており、比較的簡単に自作できます。独特のタッチを生かして、主に線描(せんがき)に使います。初心者にも扱いやすい装飾方法です。

CHECK!!

・カオリン

天然に産出する粘土(鉱石)のことで、高陵土ともいいます。

釉薬(ゆうやく)の装飾

重ね掛け

重ね掛け

2種類以上の釉薬を重ねて掛ける装飾方法です。釉薬が混ざり合って様々な変化が生まれるので、組み合わせ方が重要になります。釉薬によっては、相性の悪い組み合わせもあるので、テストは必ず行ってください。釉薬同士が少し混ざる効果を表現することができます。

掛け分け

掛け分け

2種類以上の釉薬を重ねずに掛け分ける装飾方法です。工程がやや複雑な装飾ですが、釉薬が混ざらないので、釉薬本来の色味を生かした装飾が楽しめます。

ロウ(蝋)抜き

ロウ(蝋)抜き

下地の釉薬に撥水剤で図柄を描いてから釉薬を重ね掛けて「抜き絵」をつくる要領で装飾します。釉薬の上から撥水剤でロウ抜きし、さらに上から釉薬を重ね掛けすると重ね掛けの効果も楽しむことができます。

引っ掻き

引っ掻き

釉掛け後に竹串や指で引っ掻いて素地を見せ、模様を付ける装飾方法です。釉薬によっては、焼成で引っ掻いた模様の一部がふさがりますが、その様子もまた模様として楽しめます。

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・焼成

粘土を窯(かま)で焼いて性質に変化を生じさせる事をいいます。酸化焼成、還元焼成とあり、空気が存在する状態で焼成すれば酸化焼成空気の量をしぼって、酸素不足の状態にしたものを還元焼成といいます。

流し掛け

ひしゃくなどで釉薬を流し掛け、その時にできる模様を生かす装飾方法です。釉薬を重ねると効果的です。釉薬の自然に流れた表情を楽しめます。

スポイト掛け

スポイトに釉薬を入れて細い線状に釉掛けする装飾方法です。または垂らしたり細かく掛けることもでき、上達すると簡単な模様を描くことができます。

焼成(しょうせい)の装飾

緋襷(ヒダスキ)

緋襷(ヒダスキ)

備前焼の代表的な窯変(ようへん)による装飾のひとつです。素地に巻いた藁(わら)から出るアルカリ成分が素地中の鉄分などと反応して、赤茶色(緋色)に発色することを言います。酸化の窯で焼成すると緋色と素地のコントラストがはっきりと楽しめます。

自然釉

釉薬をかけずに焼いた際、薪窯で作品に降り積もった薪の灰が素地中のケイ酸分と反応して釉薬に変化したものを自然釉といいます。伊賀焼、備前焼などに多いですが、電気炉などでも人工的に灰を霧吹きなどで掛けて自然釉風に焼き上げることができます。

はじめの一歩

「作ってみたい」 「自分で作った器で食事してみたい」と思っても、窯がないと完成しません。
しかし最近では、家庭用のオーブンで焼くことができる陶芸キットが販売されています。
焼き上げの温度は低温ですので釉薬を使う事は出来ませんが、成形も簡単で様々な技法も体験できます。誰でも気軽に陶芸の楽しさを感じてもらえると思います。

「もっと本格的に始めたい!」という方は、陶芸教室に通ってみてはいかがでしょうか。
わからない事は先生が教えてくれるので、釉薬や絵付け、本焼きの楽しさもぜひ体験してみてください。

ご参考までに、私が臨時スタッフで働いている「祖師谷陶房」をご紹介しておきます。

陶芸教室 祖師谷陶房
東京都世田谷区祖師谷6-3-18
TEL 03-5490-7501
HP http://www.soshigayatohboh.co.jp/

陶芸の素晴らしさ

陶芸家 岡崎裕子

全3回の講座を通じて、陶芸について簡単にご紹介しましたが、少しは陶芸に興味を持っていただけたでしょうか。

私にとって、陶芸の素晴らしさとは、土という自然のものを相手に自分の手でつくれることにあります。

粘土を練っている時や作陶している時は、自分自身と向き合う大切な時間です。

我が子のような作品を窯に入れ、約3日後に窯から取りだす瞬間は、毎回不安が伴いますが、その分感動もひとしおです。

思うようにいかない時もありますが、自然相手の事、と思って気長にお考え頂けたら幸いです。感覚的なご説明の所もありますが、どうか一回で上手く行かずとも、必ず上手く行くと信じて、長い目で粘土とお付き合い頂けたらと思います。

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